2011年2月9日水曜日

バリの可能性

このことばを聞いて、バリ舞踊を連想するのは私だけだろうか?
先月もたまたまバリ舞踊の方とひとつ踊ったので、私には島の名前に見えてしまう。

金型の世界では、違う。
バリとは、鉄などの素材を加工した際に生じるザリッとした部分のことである。
例えば、プレスして押された鉄。
圧倒的な力で一気に押されきったときに、端のラインがどうしてもバリっとするのである。

少し触らせていただく。
ザリザリとした感触は、不思議と心地よい。
軽く触るだけでは切れることはない。
ただ、勢いよくこすった場合、結構スパッと血が出るだろう。

商品は、その行き先にもよるけれど、多くはこのバリを削った状態で納品される。
つまり、バリは一般生活の中で常に無いモノとして存在する。
もっと言えば、生活に存在しないことになっている。
電車やバスの手すり、身近なところではスプーンや、取っ手。
どこを見渡してもバリは、ない。

軽くこすっただけで、手をきってしまうことがあるバリ。
バリが与えてくれる微かな緊張感は、実はとても重要な可能性を秘めている。

危険なモノを扱っているとき、人は少し慎重になる。
その慎重さは、自分が傷つく可能性を暗に感じている何よりの証拠なのだ。
その自分の身体への想像力は同時に、他者を傷つけるかもしれない想像力に直結する。

あまりにも凶暴な他者への暴力の多くは、その想像力の欠如に一因があることが多い。

今回のフリオコシを楽しみにしておられる方へ。
バリを直に感じていただくことになりそうです。
油断すると怪我しますのでお気をつけて。

バリの感触は、工場への入り口である。








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