2011年1月14日金曜日

延長する感覚

今回お世話になっている町工場の一つ、浜野製作所。
たまたま昨年末の納会にお邪魔したときのこと。
御年約75才、この道一筋という方が、くしくも引退される日でした。

ご本人は感極まってことばにならないご様子。
従業員の皆さんからの贈り物が粋でした。
鉄(ステンレス?!)でできた「お疲れ様でした!」の額。
工場の技術と敬意のたっぷりこもった手作りの贈り物。

そういえば自分も小学校以来同じ筆箱を使っている。
すでに27年物。
スチールでできているので机から落としたり、角にぶつけたりし、その度ひん曲げながら使ってきた。
結構もつモノである。

今回のフリオコシ。
鉄やステンレス、銅や真鍮など、比較的固いと思われる素材だが、どれも微妙に固さ・性質が違うようだ。
手の力で曲げられないだけで「固い」のひとことで片づけてしまいがちだけれど、それは大間違い。
違いを感じるには?

前回、岩井さんの工場で少しだけ機械を触らせていただく。
機械を伝って手元に来る感覚は、まさに異次元。
自分の力だけで削っているわけでは決してないのに、自分の力そのものが素材にそのまま作用していくのを感じる。

人間の皮膚感覚は不思議だ。
感覚が、延長する。
その微妙な違いをはっきり認識する力は、職人に限らず万人に必要なものかもしれない。
こちらの思っている以上に回りに作用していくことは結構多い。
どれぐらい自覚的に感じていられるだろうか?

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